目次
不妊治療に係る診療報酬上の取扱い(令和4年)
総論
問1 不妊症の患者とそのパートナーの属する保険者が異なる場合において、①一般不妊治療、②体外受精・顕微授精又は③精巣内精子採取術を経由する顕微授精のそれぞれについて請求方法如何。
(答)
[①一般不妊治療]
個々の治療内容にもよるが、患者及びそのパートナーそれぞれに対して実施される診療の場合は、一般不妊治療管理料も含めそれぞれの保険者に対して請求することができる。この場合において、当該診療を実施する対象者が「患者」であり、男性及び女性のいずれにも診療を実施する場合には、双方が「患者」となること。
また、人工授精については、主に女性に対して医行為を行うものであるため、当該治療を受ける女性の属する保険者に請求すること。
[②体外受精・顕微授精]
個々の治療内容にもよるが、患者及びそのパートナーそれぞれに対して実施される診療の場合は、生殖補助医療管理料も含めそれぞれの保険者に対して請求することができる。
この場合において、当該診療を実施する対象者が「患者」であり、男性及び女性のいずれにも診療を実施する場合には、双方が「患者」となること。
また、体外受精・顕微授精を含む生殖補助医療については、最終的には胚移植という女性に対する医行為を行うものであるため、採卵術、体外受精・顕微授精管理料、受精卵・胚培養管理料、胚凍結保存管理料及び胚移植術は、当該治療を受ける女性の属する保険者に請求すること。
[③精巣内精子採取術を経由する顕微授精]
精巣内精子採取術等の男性不妊治療については、当該治療を受ける男性の属する保険者に対して請求すること。
その後、顕微授精に移行する場合は、②の考え方に基づき、顕微授精による治療の開始日以降は当該治療を受ける女性の属する保険者に請求すること。
この場合において、精巣内精子採取術における「患者」は男性となり、顕微授精に係る採卵術等における「患者」は女性となること。
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特定疾患治療管理料の「32」一般不妊治療管理料
問2 一般不妊治療管理料の算定要件のうち、治療計画に係る患者及びそのパートナーへの説明・同意の取得については、両者が受診した上で行わなければならないのか。
6月に1回以上行うこととされている「治療内容等に係る同意について確認」についても両者の受診が必要か。
(答)初回の治療計画の説明に当たっては、原則として当該患者及びそのパートナーの同席の下で実施すること。
ただし、同席が困難な場合には、その理由を診療録に記載するとともに、やむを得ない事情がある場合を除き同席ができなかった者に対しても以後の診療機会に説明を行い、同意を得ること。
後段の「治療内容等に係る同意について確認」については、同意について確認がとれればよい。
なお、上記取扱いは、生殖補助医療管理料についても同様であること。
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問3 一般不妊治療管理料の初回算定時における婚姻関係等の具体的な確認方法如何。
(答)法律婚である場合はその事実関係を、法律婚以外の場合は患者及びそのパートナーが事実婚関係にある旨の申告を受けるとともに以下アからウまでの内容について、それぞれ確認を行うこと。
その際の具体的な確認方法については、個別の事情に応じた医療機関の判断に委ねるが、例えば、患者及びそのパートナーの申告書による確認を行うことなどが考えられる。
その際、確認した内容を診療録に記載し、申告書により確認を行った場合は当該申告書を診療録に添付すること。
-
ア 当該患者及びそのパートナーが重婚でない(両者がそれぞれ他人と法律婚でない)こと。
-
イ 当該患者及びそのパートナーが同一世帯であること。
なお、同一世帯でない場合には、その理由について確認すること。
-
ウ 当該患者及びそのパートナーが、治療の結果、出生した子について認知を行う意向があること。
なお、上記取扱いは、生殖補助医療管理料についても同様であること。
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人工授精
問4 患者又はそのパートナー以外の第三者からの精子提供による人工授精(AID)は、保険診療で実施可能か。
(答)不可。
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特定疾患治療管理料の「33」生殖補助医療管理料
1 基本的な算定要件
問5 患者又はそのパートナー以外の第三者からの精子・卵子・胚提供による不妊治療や代理懐胎は、保険診療で実施可能か。
(答)不可(不妊に悩む方への特定治療支援事業(以下「特定治療支援事業」という。)と同様の取扱い。)。
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2 治療計画の作成
問6 治療計画に基づき実施される一連の診療過程において、保険外の診療が含まれる場合には、算定要件を満たさないという理解でよいか。
例えば、①治療計画に基づく保険診療の過程で保険適用外の検査(先進医療等の保険外併用療養に該当しないもの)を追加的に行う場合、②胚移植を保険外の診療で行うことを前提に採卵術を保険診療で実施する場合についてはどうか。
(答)よい。
①及び②の場合については、いずれも算定要件を満たさない。
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問7 当該一連の診療において、年齢制限等の生殖補助医療管理料の算定要件を満たさない場合又は回数制限等の胚移植術の要件を満たさない場合には、治療計画に従って実施することとされている採卵術等の一連の算定要件も満たさないという理解でよいか。
(答)よい。
生殖補助医療管理料の算定要件において作成することとされている治療計画に従って実施する必要があるため、年齢制限等の要件を満たしていない場合には、採卵術等も算定不可。
また、回数制限を超えている場合は、治療計画の目的とする胚移植術がその算定要件を満たさないため、同管理料及び以降の採卵術等も算定不可。
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問8 令和4年4月1日より前に治療を開始した診療が同日以降も継続している場合、保険診療として実施することは可能か。
(答)年度をまたぐ「1回の治療」(※)に対して、特定治療支援事業の経過措置が設けられており、1回に限り助成金の活用が可能とされているため、当該事業をご活用いただきたい。
なお、令和4年4月1日より前に凍結保存した胚については、一定の条件下で、保険診療において使用することを可能としている(具体的には、問 24 参照のこと。)。
※ 特定治療支援事業における「1回の治療」とは、「採卵準備のための「薬品投与」の開始等から、「妊娠の確認」等に至るまでの特定不妊治療の実施の一連の過程」とされている。
また、融解凍結胚移植を実施する場合については、「以前に行った体外受精又は顕微授精により作られた受精胚による凍結胚移植も1回とみなす」こととされている。詳細は、同事業の要領等をご参照いただきたい。
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問9 治療計画の作成に当たって把握することとされている患者及びそのパートナーのこれまでの治療経過等について、具体的な確認内容如何。
(答)患者及びそのパートナーについて、過去の不妊治療等の産婦人科・泌尿器科領域における治療歴(出産、流産、死産等の経過を含む。)、保険診療/保険外の診療の別、保険診療における生殖補助医療の実施回数、過去に治療を実施した他の医療機関など、治療上又は算定要件上必要となる事項について申告を求め、可能な限り確認を行うこと。
過去に治療を実施した他の医療機関がある場合には、当該医療機関に照会の上、治療歴の詳細や実施回数などを把握すること。
なお、確認した内容について診療録に記載(文書で確認した場合にあっては、当該文書を診療録に添付)すること。
また、これらの確認を怠っている場合は、生殖補助医療管理料及び採卵術等の診療料の算定を行うことができないこと。
(参考)生殖補助医療管理料の算定要件及び施設基準(抄)
[算定要件]
(4)治療計画の作成に当たっては、当該患者及びそのパートナーのこれまでの治療経過を把握すること。
特に、治療計画の作成時点における胚移植術の実施回数の合計について確認した上で、診療録に記載するとともに、当該時点における実施回数の合計及び確認した年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
なお、確認に当たっては、患者及びそのパートナーからの申告に基づき確認するとともに、必要に応じて、過去に治療を実施した他の保険医療機関又は保険者に照会すること。
[施設基準]
(18) 胚移植術の回数を含む患者の治療経過について把握する体制を有していること。
また、当該保険医療機関において実施した胚移植術の実施回数について、他の保険医療機関から情報提供を求められた場合には、それに応じること。
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問 10 2回目以降の胚移植の計画策定の際は、初回に確認した婚姻関係等の状況から変更がないことを確認すればよいか。
(答)よい。
この場合においても、確認した方法について、診療録に記載するとともに、文書等が提出された場合には、当該文書等を診療録に添付すること。
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3 年齢制限
問 11 年齢制限に係る年齢のカウントは、43 歳の誕生日以降は保険診療での要件を満たさなくなるという理解でよいか。
(答)よい。
年齢のカウントについては、誕生日を基準とすることとし、年齢計算に関する法律や民法上の解釈による誕生日の前日ではないことに留意すること(特定治療支援事業と同様の取扱い。)。
なお、こうした年齢のカウント方法は、胚移植術の回数制限においても同様であること。
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問 12 年齢制限の基準日(当該生殖補助医療の開始日をいう。以下同じ。)において女性の年齢が 43 歳であるが、胚移植術の回数の上限を超えていないときには、保険診療として生殖補助医療を開始することは可能か。
(答)不可。
特定治療支援事業と同様、胚移植術の回数の上限を超えていない場合であっても、生殖補助医療管理料の年齢制限の要件を満たさない場合には算定できない。
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問 13 女性の年齢が年齢制限の基準日において 43 歳未満である場合に限るとされている。
保険適用の施行当初は、例えば、医療機関において不妊治療を保険診療として実施する準備ができていないこと等も考えられるが、43 歳未満で治療を開始できず、43 歳で治療開始することになってしまった場合の取扱い如何。
(答)令和4年4月1日から同年9月 29 日までの間に 43 歳に達する女性(※)について、43 歳に達した日の翌日(43 歳の誕生日)以後に初回の治療を開始した場合であっても、同年9月 30 日までに治療を開始したのであれば、当該治療開始日を含む1回の治療(胚移植を目的とした治療計画に基づく一連の診療をいう。)に限り、年齢制限の基準日において生殖補助医療管理料の年齢に関する算定要件を満たすものとみなす。
この場合、当該初回の治療を開始した年月日及び当該患者の生年月日を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
※ 令和4年4月1日に 43 歳に達する女性とは、同年4月2日が 43 歳の誕生日である者をいい、同年9月 29 日に 43 歳に達する女性とは、同年9月 30 日が 43 歳の誕生日である者をいう。
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4 その他
問 14 不妊症の診断がされていない者に対して、①将来子どもを出産することができる可能性を温存するための妊孕性温存療法及び②妊孕性温存療法により凍結した検体を用いた不妊治療等(以下「温存後不妊治療」という。)を実施する場合、保険診療として実施可能か。
(答)不可。
保険診療として実施する生殖補助医療は、患者及びそのパートナーが不妊症と診断されていることが算定要件となっている。
なお、「小児・AYA 世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」(厚生労働省健康局がん・疾病対策課)では、小児・AYA 世代のがん患者で、妊孕性が低下することが見込まれる等の者を対象にした支援メニューが用意されているため、対象となる場合には当該事業をご活用いただきたい。
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問 15 不妊症の診断がされていない者が、妊孕性温存療法の後にパートナーと共に不妊症と診断された後に、温存後不妊治療を実施した場合には、診断後に実施した温存後不妊治療は保険診療として実施可能か。
(答)不可。
今般、保険適用された生殖補助医療に係る算定項目のうち、「胚移植術」に用いる初期胚及び胚盤胞は、保険診療において採取した卵子及び精子を用いて作成されたものでなければならないこととされている。
なお、「小児・AYA 世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」(厚生労働省健康局がん・疾病対策課)では、小児・AYA 世代のがん患者で、妊孕性が低下することが見込まれる等の者を対象にした支援メニューが用意されているため、対象となる場合には当該事業をご活用いただきたい。
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問 16 不妊症と診断された患者及びそのパートナーについて、がん等の他の疾患が発覚し、その治療を行うこととなった場合には、不妊治療を中断せざるを得ない場合がある。
この場合において、以下を保険診療として実施してよいか。
-
がん等の治療のため、不妊治療を中断するまでに実施した生殖補助医療
(例えば、採卵、体外受精・顕微授精、受精卵・胚培養、胚凍結保存等の生殖補助医療を実施した場合)
-
がん等の治療の終了後、不妊治療を再開する場合における生殖補助医療
(答)いずれも可能。
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採卵術
問 17 採卵術の算定要件として、一連の診療における採卵術の実施回数について制限はないという理解でよいか。
(答)よい。
医学的な判断によるものであり、例えば、治療計画において、卵子が得られなかった場合、得られた卵子が少なかった場合等に複数回採卵術を行うことは可能であること。
ただし、当該治療計画における採卵術は、あくまで保険診療として胚移植術を行うことを目的に実施されるべきものであり、患者の身体的な負担にも配慮しつつ、必要な範囲内で実施すべき点に留意すること。
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体外受精・顕微授精管理料
問 18 採卵術、体外受精・顕微授精管理料、受精卵・胚培養管理料、胚凍結保存管理料及び胚移植術について、それぞれの算定日の考え方如何。
(答)個々の事例により異なる場合もあるものと考えられるが、取り扱う胚等の個数により算定すべき点数が異なること等も踏まえると、一般的には以下の算定方法が考えられる。
- 採卵術及び体外受精・顕微授精管理料は、採卵を実施した日に算定することが想定される(体外受精・顕微授精管理料を採卵日に算定しない場合には、下記の例2又は例3の受診日において算定することが想定される。)。
-
受精卵・胚培養管理料及び胚凍結保存管理料は、胚培養を実施した後に、その結果報告及び今後の治療方針の確認のための受診日がある場合には、当該受診日に算定することが想定される。
なお、採卵日以降、受診日がない場合には、胚移植を実施した日に算定することが想定される。
(参考)算定方法の例
例1)
- 採卵時に受診 :採卵術及び体外受精・顕微授精管理料を算定
- 胚培養後に受診:受精卵・胚培養管理料及び胚凍結保存管理料を算定
- 胚移植時に受診:胚移植術を算定
例2)
- 採卵時に受診 :採卵術を算定
- 胚培養後に受診:体外受精・顕微授精管理料、受精卵・胚培養管理料及び胚凍結保存管理料を算定
- 胚移植時に受診:胚移植術を算定
例3)
- 採卵時に受診 :採卵術を算定
- 胚移植時に受診:体外受精・顕微授精管理料、受精卵・胚培養管理料、胚凍結保存管理料及び胚移植術を算定
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胚凍結保存管理料
問 19 「2 胚凍結保存維持管理料」について「1年に1回に限り算定する」こととされているが、具体的には、過去1年間に「1 胚凍結保存管理料(導入時)」又は「2胚凍結保存維持管理料」を算定していない場合に算定可能という理解でよいか。
(答)よい。
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問 20 「1 胚凍結保存管理料(導入時)」については、胚の凍結とその後1年間の凍結保存及び必要な医学管理に要する費用を評価するものであり、同管理料を算定してから1年を経過した後に、継続して胚凍結保存を実施する場合には、「2 胚凍結保存維持管理料」を算定することとなるという理解でよいか。
(答)よい。
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問 21 治療計画に基づく一連の診療過程の終了後、次の胚移植に向けた治療の予定が決まっていない場合においても、胚凍結保存管理料を算定することは可能か。
(答)患者及びそのパートナーについて、引き続き、不妊治療を実施する意向を確認しており、次の不妊治療に係る治療計画を作成している場合には算定可。
ただし、治療計画に基づく一連の診療過程の終了後、次回の不妊治療の実施について、患者及びそのパートナーの意向が確認できない場合には、不妊症に係る治療が中断されているものと考えられるため、胚凍結保存管理料の算定は認められない。
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問 22 令和4年4月1日より前から凍結保存されている初期胚又は胚盤胞については、「1 胚凍結保存管理料(導入時)」と「2 胚凍結保存維持管理料」のいずれを算定すべきか。
その際の算定年数の限度(3年)の起算点の考え方如何。
(答)「2 胚凍結保存維持管理料」を算定する。
この場合、令和4年4月1日以降に算定した生殖補助医療管理料に係る治療計画に記載した場合には、当該治療計画を策定した日を起算点とすることとなるが、同日より前に凍結保存に関する費用を徴収している場合には、同日以降であってもその契約期間中は「2 胚凍結保存維持管理料」は算定できないこと。
この場合において、例えば、同日より前の診療に係る当該契約を解消し、令和4年4月1日以降の保存に要する費用を患者に返金した上で、同日から「2胚凍結保存維持管理料」を算定することは差し支えないこと。
いずれの場合においても、令和4年4月1日より前から不妊治療を実施している場合には、胚の凍結保存の費用負担の在り方を含め、保険適用の内容も踏まえつつ、今後の治療方針について患者及びそのパートナーに十分説明の上、同意を得て実施する必要がある点に留意すること。
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胚移植術
1 基本的な算定要件(使用する胚の考え方)
問 23 胚移植術において用いる初期胚及び胚盤胞は、保険診療(先進医療等の保険外併用療養を含む。)において採取した卵子及び精子を用いて作成されたものでなければならないという理解でよいか。
(答)よい。
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問 24 令和4年4月1日より前に凍結した胚を用いて保険診療を実施することは可能か。
可能な場合、その留意事項如何。
(答)令和4年4月1日より前に不妊症と診断された患者及びそのパートナーに対して実施した生殖補助医療において作成された初期胚又は胚盤胞を用いて、同年4月1日以降に胚移植術を行う場合、以下の⑴~⑷の全てを満たす場合には保険給付の対象とする。
この場合、これらの確認方法等を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載し、確認に当たっての文書がある場合は、当該文書を診療録に添付すること。
⑴ 令和4年4月1日以降に、治療計画を作成し、生殖補助医療管理料を算定すること。
⑵ 以下のいずれかの場合に該当すること。
-
特定治療支援事業の実施医療機関として指定を受けている若しくは日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植に関する登録施設である医療機関において作成・保存された初期胚若しくは胚盤胞である場合
-
当該初期胚又は胚盤胞を用いた生殖補助医療を実施する医師が、その作成・保存に関して、①の医療機関と同等の水準で実施されていたと判断できる場合
⑶ 保険診療に移行することについて患者の同意を得ること。
⑷ 同年4月1日以降に実施される不妊治療に係る費用について、同年3月 31 日以前に患者から徴収していないこと(同日以前に当該費用を徴収している場合であって、同年4月1日以降の不妊治療に要する費用の返金を行ったときを含む。)。
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問 25 年度をまたぐ治療に係る特定治療支援事業の経過措置により助成を受ける場合において、令和4年4月1日以降に保険外の診療で凍結した胚についてはどう考えればよいか。
(答)問 24 と同様に、要件を満たす場合は保険給付の対象となる。
この場合において、⑷は、「当該保険診療の治療開始日以降に実施される診療に係る費用を徴収していないこと。」と読み替えること。
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問 26 問 24 及び問 25 に関して、精子又は卵子の凍結保存に関してはどうか。
(答)問 24 又は問 25 に示された要件を満たす場合には、保険給付の対象となる。
この場合、体外受精・顕微授精管理料を算定することとなる。
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2 回数制限
問 27 回数は、保険診療における実施回数をカウントするものであり、保険外の診療で実施した回数は含まないという理解でよいか。
(答)よい。
なお、特定治療支援事業では、採卵したが卵子が得られない等の理由により中止した場合(同事業における移植に至らない区分 D~F に該当する場合)について支給対象とし、支給した場合には1回とカウントしていたが、保険診療において当該場合は胚移植術の実施回数に含まない。
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問 28 令和4年4月1日より前に特定治療支援事業において実施された治療の回数は含まないという理解でよいか。
また、同事業の経過措置により年度をまたいで令和4年4月1日以降に胚移植を実施し、同事業の助成金の支給を受ける場合はどうか。
(答)いずれの場合も、保険診療における胚移植術の実施回数に含まない。
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問 29 患者及びそのパートナーについて初めての胚移植術に係る治療計画を作成した日における年齢(以下「回数制限の基準日」という。)が 40 歳未満である場合は、患者1人につき6回に限り算定することとされている。
保険適用の施行当初は、例えば、医療機関において不妊治療を保険診療として実施する準備ができていないこと等も考えられるが、40 歳未満で初めての治療を開始できず、40 歳で治療開始することになってしまった場合の取扱い如何。
(答)令和4年4月1日から同年9月 29 日までの間に 40 歳に達する女性(※)について、40 歳に達した日の翌日(40 歳の誕生日)以後に保険診療として初めて治療を開始した場合であっても、同年9月 30 日までに治療を開始したのであれば、回数制限の基準日において 40 歳未満で初めて治療を開始したものとみなし、当該患者1人につき胚移植術を6回に限り算定して差し支えない。
この場合、当該初めての治療を開始した年月日及び当該患者の生年月日を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
※ 令和4年4月1日に 40 歳に達する女性とは、同年4月2日が 40 歳の誕生日である者をいい、同年9月 29 日に 40 歳に達する女性とは、同年9月 30 日が 40 歳の誕生日である者をいう。
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問 30 「次の児の妊娠を目的として胚移植を実施した場合」の「次の児の妊娠」には、特定治療支援事業と同様に、直前の妊娠において出産に至った後の妊娠のほか、妊娠 12 週以降に死産に至った後の妊娠を含むという理解でよいか。
(答)よい。
この場合、原則として、母子健康手帳等(死産の場合は診断書や医師の証明書を含む。)により、出生に至った事実等を確認すること。
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問 31 保険診療において不妊治療を実施し、回数制限を超えた場合などにおいて、その後、保険外の診療で実施した不妊治療により妊娠・出産に至った後に、不妊治療を再開するときは、「次の児の妊娠を目的として胚移植を実施した場合」に該当し、改めて保険診療において実施することが可能か。
(答)可能。
この場合、原則として、母子健康手帳等(死産の場合は診断書や医師の証明書を含む。)により、出生に至った事実等を確認すること。
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医薬品関係
問 32 不妊治療での医薬品の使用に関して、「生殖医療ガイドライン」(日本生殖医学会編)において推奨されている以下の①から③までについては、「生殖医療ガイドライン」(日本生殖医学会編)における推奨度や、代替薬の有無等を考慮の上、「保険診療における医薬品の取扱いについて」(昭和 55 年9月3日保発第 51 号厚生省保険局長通知)を踏まえ、診療報酬明細書の摘要欄に記載されている投与の理由を参考に、個々の症例ごとの医学的判断により診療報酬の審査がなされると理解してよいか。
- modified natural cycle IVF、又は中等量までの卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤とゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストの投与に基づく mildIVF における、排卵抑制のためのジクロフェナク又はイブプロフェンの使用
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)ハイリスク患者に対する、OHSS 発症予防のためのレトロゾールの使用
- 胚移植における黄体補充での、プロゲスチン製剤との併用におけるエストロゲン製剤の使用
(答)よい。
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