令和4年(その52)~平成20年度までの疑義解釈資料を項目ごとに。

年末年始の休日加算、夜間・早朝等加算など

年末年始の休日加算など

目次

「休日」の定義

まずは「休日」の定義を確認します。

休日加算

ア 休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいう。

なお、1月2日及び3日並びに12月29日、30日及び31日は、休日として取扱う。

[平成30年度版]別添1 医科診療報酬点数表に関する事項(保医発0305第1号)

とされています。

したがって年末年始の12月29日、30日、31日、1月1日、2日、3日の6日間は「休日」と定義されます。

そもそも「休日」と定義されなければ休日加算の対象となりませんので、まずはここを抑えましょう。

「自院は水曜日は休診にしているから、水曜日は休日加算を算定しよう」とはなりませんのでご注意ください。

平成30年度現在、あくまで点数表上「休日」と設定されている日だけが対象となります。

休日加算の要件

では、「休日」に診療すれば自動的に「休日加算」を算定できるのでしょうか?

そうはいきません。

算定要件をチェックしてみましょう。

(ロ) 当該休日を休診日とする保険医療機関に、又は当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間以外の時間に、急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診した患者を除く。)

[平成30年度版]別添1 医科診療報酬点数表に関する事項(保医発0305第1号)

前提条件として、「休日」を「休診日」として設定していなければならないことが記載されています。

例えば。

<通常はカレンダー通りだが、1/1に限っては患者のために開院している。>

そんな医療機関の場合、1/1の診療時間内に来院した患者については休日加算は算定できないと考えられます。

しかし、地方によって異なる解釈がとられている可能性もありますので、自身での確認をお願いします。

私見

「臨時に当該休日を診療日としている」場合も算定できないとされているので、厚生局の届出の内容は関係ないと考えられます。

行政の文書でも10連休の際の届出は不要と出ていました。すべてのパターンでそうとは限りませんが、準用できる考え方ではないでしょうか。

あくまで実態としてその日が休診日になっているかどうかが問われているのではないかと考えます。

また、急患などやむを得ない理由でなければ対象とならないことにも注意しましょう。

定期診察・定期投薬などは対象外ということです。

救急指定の医療機関でもないのに、1日に何十人も休日加算の患者が出てくると「おかしい」と考える審査機関もあるかもしれません。

夜間・早朝等加算であれば休日・診療時間内に算定できる

では、休診しなかった場合は他になんにも算定できないのか、というとそういうことでもなく、標榜時間内の診療については夜間・早朝等加算が算定できます。

(もちろん夜間・早朝等加算の施設基準を満たしておく必要はあります)

そして、夜間・早朝等加算は休日加算や深夜加算などと違い、急患などやむをえない場合でなくとも算定が可能ですのでこの点も要チェックです。

それらを踏まえて、次の項目で算定一覧表を作成してみました。

年末年始の休日加算、夜間・早朝等加算、深夜加算の算定例

<例>(標榜時間1)09:00-13:00、(標榜時間2)15:00-17:00、(深夜)22:00-06:00[点数表上の規定]、(その他1)13:00-15:00、(その他2)17:00-22:00、(その他3)06:00-09:00

  1. 1月1日(火)を休診日とし、夜間・早朝等加算の施設基準を満たす
  2. 1月1日(火)を休診日とし、夜間・早朝等加算の施設基準を満たさない
  3. 1月1日(火)を臨時診療とし、夜間・早朝等加算の施設基準を満たす
  4. 1月1日(火)を臨時診療とし、夜間・早朝等加算の施設基準を満たさない

<「休日」の対象日の取扱い>

時間帯 休診 診療
①夜間・早朝等満たす ②夜間・早朝等満たさない ③夜間・早朝等満たす ④夜間・早朝等満たさない
標榜時間1
休日加算
夜間・早朝等加算
なし
その他1
休日加算
標榜時間2
休日加算
夜間・早朝等加算
なし
その他2
休日加算
深夜
深夜加算
その他3
休日加算

※休日加算は急患等でなければ算定できない。

※夜間・早朝等加算は急患等でなくても算定できる。

休日における小児科特例、産科・産婦人科特例

小児科と産科・産婦人科にはこの休日加算などの取扱いが他の診療科と異なり、少し優遇される形となります。

少し長いですが、一応全文引用致します。

(21) 小児科(小児外科を含む。以下この部において同じ。)を標榜する保険医療機関における夜間、休日又は深夜の診療に係る特例

ア 夜間、休日及び深夜における小児診療体制の一層の確保を目的として、小児科を標榜する保険医療機関(小児科以外の診療科を併せて有する保険医療機関を含む。)について、6歳未満の乳幼児に対し、夜間、休日又は深夜を診療時間とする保険医療機関において夜間、休日又は深夜に診療が行われた場合にも、それぞれ時間外加算、休日加算又は深夜加算を算定できることとするものである。

なお、診療を行う保険医が、小児科以外を担当する保険医であっても算定できるものであること。

[平成30年度版]別添1 医科診療報酬点数表に関する事項(保医発0305第1号)

(24) 産科又は産婦人科を標榜する保険医療機関における夜間、休日又は深夜の診療に係る特例

ア 夜間、休日及び深夜における妊婦の診療体制の一層の確保を目的として、産科又は産婦人科を標榜する保険医療機関(産科又は産婦人科の診療科を併せて有する保険医療機関を含む。)について、妊婦に対し、夜間、休日又は深夜を診療時間とする保険医療機関において夜間、休日又は深夜に診療が行われた場合にも、それぞれ時間外加算、休日加算又は深夜加算を算定できることとするものである。

なお、診療を行う保険医が、産婦人科又は産科以外を担当する保険医であっても算定できるものであること。

[平成30年度版]別添1 医科診療報酬点数表に関する事項(保医発0305第1号)

これ、要は「小児科又は小児外科」を標榜する医療機関が、「6歳未満の乳幼児」を診療した場合。

ならびに、「産科又は産婦人科」を標榜する医療機関が、「妊婦」を診療した場合。

これらの場合、標榜時間に関係なく「休日加算」が算定できる、ということになります。

先ほどの表と同様に表現すれば、

<例>

  1. 1月1日(火)を休診日とし、「小児科特例」又は「産婦人科特例」を満たす
  2. 1月1日(火)を臨時診療とし、「小児科特例」又は「産婦人科特例」を満たす
<例:「休日」の対象日の取扱い>

時間帯
休診
診療
①小児科・産婦人科特例満たす
②小児科・産婦人科特例満たす
標榜時間1
休日加算
休日加算(特例)
その他1
休日加算
標榜時間2
休日加算
休日加算(特例)
その他2
休日加算
深夜
深夜加算
その他3
休日加算

となります。

年末年始の休日加算、夜間・早朝等加算などのまとめ

  1. 12月29日~1月3日は休日の扱いとなる。
  2. 休日を休診日に設定している時に急患等がきたときに休日加算が算定できる。
  3. 深夜の時間帯は深夜加算を算定する(点数が高い)。
  4. 休日を診療日に設定すると、診療時間内は休日加算は算定できない。
  5. しかし、施設基準を満たしていれば夜間・早朝等加算は算定できる(急患でなくてもいい)。
  6. 小児科、小児外科、産科、産婦人科には特例がある。
  7. 特例が適用される場合、休日を診療日に設定しても診療時間内に休日加算が算定できる(急患でなくてもいい)。

といったところでしょうか。

年末年始は通常とは違う動きをする医療機関も多いと思いますが、あらかじめしっかり内容を確認をするとともにできれば患者への周知もあった方が良いと思います。

特に産科・産婦人科の特例で休日加算を算定する場合。

2018年、SNSを中心に世間で「妊婦加算」への批判が巻き起こりましたが、開院しているからと妊婦がやってきたら普段よりもずっと高いということが会計時点で発覚すると、クレーム対象になるかもしれません。

(小児科の方は多くは助成が入っているので患者自己負担は変わらず、特に問題化しないと思われます)

夜間・早朝等加算や特例による休日加算を算定する医療機関は、年末年始の開院日のお知らせと同時に料金に変動があることも併せて周知する方ことをおすすめします。

疑義解釈資料の送付について(その1)-2016.03.31-[PDF形式/1,317KB]

注意

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