平成30(その14まで)・28・26年度疑義解釈資料入力済。

時間外の救急等の診療に対する選定療養(自費請求)について

時間外の選定療養

軽症であるにも関わらず救急を受診する患者が多いことは以前から指摘されていました。

医療現場の疲弊を避けるため「選定療養」の仕組みをつかって、患者へ自費請求を行う病院のニュースが時折流れてきます。

しかし、この時間外受診への「選定療養」の仕組みも

  1. 「時間外診察」
  2. 「一般病床200床以上の紹介無し初診」(以下「200床紹介なし初診」と略)
  3. 「特定機能病院及び許可病床400床以上の地域医療支援病院の紹介無し初診」(以下「400床紹介なし初診」と略)

と大まかにわけて3つの枠組で行なわれており(本当は「再診」の場合もありますが、説明がわかりづらくなるため割愛します)、また病院によって設定金額やルールも異なります。

場合によっては併せて請求される場合もあるので、混乱することもあるかと思われます。

この「時間外の受診」に対する「選定療養」の仕組みについて記載します。

「選定療養」とは?

本来、保険診療では自費と保険が混在することは想定されておりませんが、「保険外併用療養費制度」によって、例外的に保険診療と併せて請求することが可能です。

「保険外併用療養費制度」には、

  • 評価療養
  • 患者申出療養
  • 選定療養

があります。

「評価療養」や「患者申出療養」は、保険導入のための評価を行うものですが、「選定療養」は保険導入を前提としておらず、「差額ベッド代」をはじめとした患者の希望による特別の療養環境の提供等多くの内容が含まれおり、その中に「時間外診察」や「200床紹介なし初診」「400床紹介なし初診」もあります。

選定療養の要件等

以下、実際にはかなり細かくルールが設定されておりますが、ざっくりとしたイメージを掴むために、大まかなところを抜粋して表記いたします。

選定療養の要件

そもそもすべての選定療養を行うためには以下の要件を満たす必要があります。

  • 地方厚生局に報告(定めた際・変更した際・毎年7月)
  • 患者に対する説明と同意
  • 院内掲示

上記要件を満たした上で、以下の表のそれぞれの項目が要件となります。

時間外診察・200床紹介なし初診・400床紹介なし初診の要件

金額もおおむねの目安が設けられ「400床紹介なし初診」は最低額も決められています。

金額 要件
時間外診察 時間外加算の所定点数相当額を標準 緊急の受診の必要性がなく、自由な選択に基づき、自己の都合により診察を希望した場合。
200床紹介なし初診 社会的にみて妥当適切な範囲 他の保険医療機関等からの紹介なし。国の公費負担医療制度の受給対象者、一部の地方単独の公費負担医療の受給対象者、無定診の対象者等には請求できない。
400床紹介なし初診 社会的にみて妥当適切な範囲かつ5,000円以上

※「400床紹介なし初診」は救急医療事業等「正当な理由」がある場合は、支払いを求めないことができる。

時間外診療に対する選定療養

さて、実際に時間外に対して選定療養を行うには次の3つのパターンが考えられます。

  1. 「時間外診察」を使う。
  2. 「200床紹介なし初診」又は「400床紹介なし初診」の該当時間を夜間・休日まで伸ばす
  3. (1)と(2)を両方実施する。

順にそれぞれの特徴を見ていきましょう。

「時間外診察」

各種時間外加算(時間外加算85点、休日加算250点、深夜加算480点等)を標準として請求する制度です。

6歳未満や妊婦だとさらに跳ね上がりますね。

「緊急の受診の必要性がなく、自由な選択に基づき」というところの解釈がポイントではないでしょうか。

この解釈によって、請求ルールが病院ごとに異なってくるのではないかと思われます。

例えば、いくつかの病院のサイトを閲覧したところ、除外される条件として以下のようなものが見られました。

  • 受診後に入院となった場合
  • 紹介状を持参した場合
  • 自院の医師から指示があった場合
  • 医師が緊急性があると判断した場合
  • 小学生未満

「200床紹介なし初診」又は「400床紹介なし初診」

「200床紹介なし初診」又は「400床紹介なし初診」の該当時間を夜間・休日まで伸ばすというやり方もあります。

最低額の5,000円に消費税をのせた5,400円で請求するケースをよく見ました。

こちらの仕組みを使う場合は「紹介状がない」ことが前提となりその他いくつか請求できない状態の患者(公費等)がいます。

また救急医療事業等「正当な理由」がある場合は、「支払いを求めないことができる」とされているので、救急に関しては自費請求を行っていなかった医療機関もあるかと思います。

「支払いを求めないことができる」制度なので、当然「支払いを求めることもできる」ということのようです。

とはいえ単純に「夜間・休日まで伸ばす」とは言っても、夜間・休日にかかりつけ医にかかって紹介状を書いてもらうことはできませんので、患者からすると自身で選べない状況も想定され、「選定療養」とされるのは納得がいかないケースもあるかもしれません。

そのような状況も想定してか、病院によっては「時間外診察」の時と同じように請求を免除するルールを設けている医療機関もあります。

以下、その例示です。

  • 紹介状を持参した場合(前提条件)
  • 一部の公費等の場合(前提条件)
  • 受診後に入院となった場合
  • 自院に通院中の再診患者の場合
  • 救急車、ドクターヘリで来院した場合

「時間外診察」+「200床紹介なし初診」又は「400床紹介なし初診」

(1)と(2)を両方実施するケースです。

傾向としては「200床紹介なし初診」を行っている病院で実施されているケースが多いように感じました。

時間外の救急等の診療に対する選定療養(自費請求)・まとめ

一見混合診療を疑ってしまいそうですが、制度化されており手続きを踏めば問題ない取り扱いとなっています。

報道などされるので珍しいことなのかと思ったら、案外多くの病院が導入していることがわかりました。

それほど医療の現場は疲弊しているということと、それなりの効果があるということなのでしょう。

不要・不急の受診は夜間・休日ならずとも避けたいところです。

しかし、同時に患者の立場で考えれば緊急性があるかないかを自身で判断できる能力は持ち合わせていないので、例えば機械的に「入院につながらなかった場合は1万円の自己負担」と言われると受診を躊躇する人もいそうですよね。

生死を分けることにもつながりかねないので、よく検討された上でのルール設定が必要ではないかと思います。

文献

保医発0305第6号平成30年3月5日「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について

(出典:疑義解釈資料の送付について(その1)-2016.03.31-[PDF形式/1,317KB]

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